外来でも増えている「体重と喘息」のご相談
外来では、「喘息の治療をしているのに、なかなか良くならない」「最近体重が増えてから息苦しさが強くなった気がする」といったご相談を受けることがあります。
喘息は気管支という空気の通り道の病気ですが、実は体重、特に肥満が喘息の状態に影響することが知られています。今回は、肥満と喘息の関係について、わかりやすく解説します。
よくある質問・不安
体重が増えると喘息は悪くなるのでしょうか?
患者さんからは
「太ると喘息は悪化しますか?」
「体重を減らすと楽になりますか?」
といった質問をよくいただきます。
結論から言うと、肥満は喘息を悪化させる要因の一つと考えられています。ただし、すべての喘息患者さんに当てはまるわけではなく、いくつかの要因が組み合わさって影響する点が重要です。
肥満が喘息に影響する主な理由
肥満が喘息に影響する理由は、大きく分けていくつかあります。
1.炎症が強くなる(全身性炎症)
肥満では脂肪組織に炎症細胞(マクロファージなど)が増え、IL-6やTNF-αなどの炎症性サイトカインが多く分泌されることが知られています。
これらは全身の炎症を高める物質で、気管支の炎症も悪化させる可能性があります。つまり、体の中で起こっている炎症が気道にも影響するというイメージです。
2.肥満関連喘息(タイプ2 low)の存在
近年、喘息にはいくつかのタイプ(フェノタイプ)があると考えられています。その中に「タイプ2 low」と呼ばれるタイプがあり、
- 成人発症が多い
- 女性に多い
- アレルギーが少ない(非アトピー)
- 吸入ステロイドの効果が出にくい
といった特徴があります。
このタイプの一部に、肥満が関与していると考えられており、従来の治療だけではコントロールが難しいことがあります。
3.呼吸のしづらさ(力学的な影響)
肥満になると、胸やお腹の脂肪が増えることで呼吸の動きにも影響が出ます。
- 胸郭の動きが制限される
- 横隔膜が押し上げられる
- 肺の広がりが小さくなる
その結果、浅く速い呼吸になりやすく、息苦しさを感じやすくなります。仰向けで寝たときに苦しさを感じる方も少なくありません。
4.関連する病気の影響
肥満に伴って起こりやすい病気も、喘息に影響します。
- 睡眠時無呼吸症候群
- 胃食道逆流症(逆流性食道炎)
これらはどちらも咳や気道刺激の原因となり、喘息のコントロールを難しくすることがあります。
放置した場合の注意点
肥満が関与している場合、吸入薬などの治療を行っていても症状が十分に改善しないことがあります。
また、息苦しさが続くことで活動量が低下し、さらに体重が増えてしまうという悪循環になることもあります。ただし、すべての方に当てはまるわけではなく、個々の状態によって異なります。
咳が長引く場合には、咳喘息などの可能性も含めて考えることが重要です。
受診の目安(重要)
次のような場合には、医療機関での相談をおすすめします。
- 喘息治療をしているのに症状が改善しない
- 体重増加とともに息苦しさが強くなった
- 夜間や横になると息苦しい
- 咳や喘鳴(ぜいぜい)が続く
一方で、症状が軽く安定している場合には、生活習慣の見直しから始めることも一つの方法です。
日暮里・荒川区周辺でも、体重と呼吸の関係について相談される方は増えてきています。
特に夜や寝る前に咳が強くなる方は、こちらも参考にしてください。
検査・治療について
医療機関では、
- 呼吸機能検査
- 胸部レントゲン
- 症状の経過の確認
などを行い、喘息の状態を評価します。
治療は吸入薬を中心に行われますが、肥満が関係している場合には、生活習慣の見直しも重要なポイントとなります。
- 食事バランスの改善
- 適度な運動
- 体重管理
これらによって、症状の改善が期待できる場合もあります。
外来で実際によくある補足
外来では、「体重を少し減らしただけで息苦しさが軽くなった」という声を聞くことがあります。一方で、体重だけが原因ではないケースも多く、治療と生活改善の両方を組み合わせて考えることが大切です。
まとめ:体重も含めて喘息を考えることが大切です
喘息は気道の病気ですが、体全体の状態、特に体重の影響を受けることがあります。肥満がある場合には、炎症や呼吸の動きなど複数の要因が関係して症状が出やすくなることがあります。
治療とあわせて生活習慣を見直すことで、症状の改善につながることもあります。気になる症状がある場合は、一人で悩まずご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断や治療を行うものではありません。
本文作成・監修:ぜんそくと肺のクリニック 院長 井上 英樹 (日本呼吸器学会認定 呼吸器専門医・指導医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医)








