喘息はどのくらい多い病気?ー有病率と推計患者数から考える

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外来では、「喘息は子どもの病気だと思っていました」「大人になってから喘息になることはありますか」「自分の咳も喘息なのでしょうか」と相談されることがよくあります。
咳が長引いたり、夜や明け方に息苦しさを感じたりすると、「このまま悪くなるのでは」と不安になる方も少なくありません。

喘息は決して珍しい病気ではありません。ただし、調査によって数字の出方が少し違うため、今回は海外と日本の報告を比較しながら、一般の方にもわかりやすく整理します。

よくある質問:喘息は何人に1人くらいですか?

結論からいうと、日本では調査方法によって幅がありますが、目安としては、

喘息のような症状は約13人に1人、喘息は約20〜25人に1人

と考えるとわかりやすいです。

ここで大切なのが、「喘息のような症状があること」と「喘息と診断されること」は同じではない、という点です。

たとえば「頭痛」で考えると、「最近頭が痛い人」は多くても、その全員が片頭痛と診断されるわけではありません。寝不足、肩こり、風邪、ストレスなどでも頭痛は起こります。
喘息も同じで、「咳が続く」「ゼーゼーする」「息苦しい」といった症状があっても、原因は喘息以外のこともあります。

喘息有病率:海外報告と日本報告の比較

区分主な報告有病率・患者数の目安解釈
世界全体WHO 2026 Fact sheet (1)2023年時点で喘息患者は推定 3億6300万人世界的に非常に頻度の高い慢性呼吸器疾患です。
海外・国際調査Global Asthma Network Phase I (2)現在の喘息症状:小児 9.1%、思春期 11.0%、成人 6.6%質問票による「最近12か月の喘鳴」などを中心にした症状ベースの国際比較です。
日本・全年齢厚労省保健福祉動向調査を引用した国内報告 (3)喘息様症状の有症率:全年齢 7.5%症状ベースの推計です。小児や高齢者で高くなる傾向があります。
日本・成人厚労科研の全国調査 (4)成人20〜44歳で、期間有症率 9.3%、喘息有病率 5.3%成人を対象にした調査で、症状のある人と喘息と考えられる人の差がわかります。

有病率と有症率の違い

少し専門的ですが、喘息の頻度を考えるときには、有病率有症率を分けて見る必要があります。

有症率とは、病名がついているかどうかにかかわらず、「その症状がある人の割合」です。喘息でいえば、「ゼーゼーする」「夜や明け方に咳が出る」「息苦しい」といった症状がある人を含みます。

一方、有病率とは、医師から喘息と診断されている、または喘息として治療されている人の割合に近い考え方です。

そのため、症状ベースの有症率は高めに出やすく、診断ベースの有病率はそれより低くなることがあります。

日本の喘息推計患者数

2026年4月時点の日本の総人口は、約1億2286万人です。
日本の全年齢における喘息様症状の有症率を7.5%として単純に計算すると、

1億2286万人 × 7.5% = 約921万人

となります。

つまり、症状ベースでは、日本に約920万人前後の喘息または喘息様症状を持つ人がいる可能性があります。

一方で、小児で約7%、成人で約4%程度という、より控えめな考え方で年齢構成を加味すると、日本の喘息推計患者数は約530万人前後と見積もられます。

このように、どの調査をもとにするかで数字は変わりますが、喘息は日本でも数百万人規模でみられる病気と考えられます。

東京都の喘息推計患者数

東京都の人口は、2026年4月時点で約1429万人です。
ここに、喘息様症状の有症率7.5%を当てはめると、

1429万人 × 7.5% = 約107万人

となります。

つまり、東京都では、症状ベースでは約100万人規模で喘息のような症状を持つ方がいる可能性があります。

一方で、より控えめに4%台で見積もると、東京都の喘息患者数は約60万人前後と考えられます。日暮里・荒川区周辺のような都市部でも、長引く咳や息苦しさで受診される方は少なくありません。

高血圧や糖尿病と比べると?

生活習慣病と比べると、喘息の多さが少しイメージしやすくなります。

日本では、高血圧症は推定で約4300万人、糖尿病が強く疑われる人は約1100万人とされています。高血圧ほど多い病気ではありませんが、喘息も数百万人規模でみられる慢性疾患です。

つまり、喘息は「一部の人だけの珍しい病気」ではなく、身近に起こりうる呼吸器の病気といえます。

まとめ:症状が続くときは原因を確認しましょう

喘息は、世界的にも日本でも多くみられる病気です。
ただし、「咳が続く」「ゼーゼーする」「息苦しい」といった症状があるからといって、必ず喘息とは限りません。風邪のあと、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、逆流性食道炎、COPD、心臓の病気などでも似た症状が出ることがあります。

特に、咳が3週間以上続く、夜間や明け方に咳で起きる、運動や冷たい空気で息苦しくなる、ゼーゼー・ヒューヒューする、といった場合には、一度原因を確認することが大切です。

日暮里・荒川区周辺で生活している方の中にも、「ただの咳だと思っていたら喘息だった」という方は少なくありません。一人で悩まず、症状が続くときは医療機関で相談してみてください。

※本記事で扱っている統計数字は、2026年5月時点のものです。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断や治療を行うものではありません。

本文監修:ぜんそくと肺のクリニック 院長 井上 英樹 (日本呼吸器学会認定 呼吸器専門医・指導医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医)

参考文献

(1) WHO 2026 Fact sheet
(2) The Global Asthma Report 2022
(3) 日内会誌 107:2059-2066, 2018
(4) Fukutomi Y, et al. Int Arch Allergy Immunol. 2010;153(3):280-7.

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