春に増える呼吸器症状、外来でもよく相談されます
春は暖かくなり、過ごしやすい季節と感じる方も多いと思います。一方で外来では、「春になると咳や息苦しさが出てきます」「この時期になると調子が悪くなります」といったご相談もよく見られます。
体調は悪くないのに、なぜか呼吸器症状だけが出てくると、不安に感じる方も少なくありません。今回は、春に起こりやすい呼吸器症状について、その原因と対策を整理してお話しします。
よくある質問・不安
春になると咳や息苦しさが出るのはなぜですか?
患者さんからは
「春になると咳が出るのは花粉のせいですか?」
「毎年この時期に息苦しくなるのはなぜでしょうか?」
といった質問をよくいただきます。
実際に春は、呼吸器症状が出やすい要因が重なりやすい季節です。ひとつの原因だけでなく、複数の要因が関係していることも多いのが特徴です。
春に多い呼吸器症状の原因
春に呼吸器症状が出やすい理由はいくつかあります。
1.花粉による気道刺激
スギ花粉の飛散は一般的に2月から4月にかけて多くなります。花粉は鼻だけでなく、気道にも影響を与えることがあり、咳の原因となることがあります。
また、花粉症による鼻水が喉の奥に流れる「後鼻漏」によって、気道が刺激されて咳が出ることもあります。
2.黄砂や大気中の粒子
春は黄砂の飛来が増える季節でもあります。特に3月から5月にかけて多く、4月頃にピークを迎えることがあります。
黄砂や微粒子は気道を刺激し、咳や息苦しさを引き起こす要因となることがあります。地域によって影響の程度は異なりますが、首都圏でも影響を感じる方は少なくありません。
3.気圧の変動と自律神経の影響
春は低気圧と高気圧が交互に通過し、気圧の変動が大きい季節です。気管支はこの変化に影響を受けやすく、気圧が下がるタイミングで症状が悪化することがあります。
また、自律神経のバランスも関与しており、気道が敏感になって咳や息苦しさが出やすくなることがあります。
4.気温差による気道収縮
春は一日の寒暖差が大きい時期です。特に朝晩の冷え込みによって気道が収縮し、咳や息苦しさが出ることがあります。
5.鼻症状による影響
花粉や黄砂によって鼻水や鼻づまりが起こると、呼吸がしづらくなり、息苦しさが強く感じられることがあります。鼻と気道はつながっているため、これらの症状は相互に影響します。
放置した場合の注意点
春の症状は一時的なものも多いですが、
- 毎年同じ時期に繰り返す
- 咳や息苦しさが徐々に強くなる
- 夜間や早朝に症状が出る
といった場合には、咳喘息や喘息などの気道の病気が関係している可能性もあります。
ただし、すべての症状が重い病気につながるわけではありませんので、必要以上に不安になる必要はありません。
受診の目安(重要)
次のような場合には、医療機関での相談をおすすめします。
- 咳が3週間以上続く
- 夜間や早朝に咳や息苦しさが出る
- 花粉や気温変化で症状が悪化する
- 息苦しさやぜいぜいする感じがある
- 市販薬で改善しない
一方で、軽い症状で日常生活に支障がない場合には、経過を見ながら対策を行うこともあります。
日暮里・荒川区周辺でも、春になると同様の症状で受診される方が増える印象があります。
検査・治療について
医療機関では、
- 症状の経過の確認
- 胸部レントゲン
- 呼吸機能検査
などを行い、原因を評価します。
治療としては、
- 抗アレルギー薬
- 吸入薬(気管支の炎症や収縮を抑える薬)
- 点鼻薬
などが症状に応じて選択されます。これらの治療によって、症状の改善が期待できる場合があります。
外来で実際によくある補足
外来では、「毎年春になると同じ症状が出る」という方が多くいらっしゃいます。このような場合、花粉や気候変化に対して気道が敏感になっている可能性があります。
早めに対策を行うことで症状が軽く済むケースも多く、「今年は少し早めに治療を始めたら楽だった」という声もよく聞かれます。
まとめ:春の症状は早めの対策と相談を
春は花粉や黄砂、気候変化などが重なり、咳や息苦しさなどの呼吸器症状が出やすい季節です。多くは一時的なものですが、長引く場合や繰り返す場合には、適切な評価と治療が役立つことがあります。
気になる症状がある場合は、一人で悩まず医療機関に相談してみてください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断や治療を行うものではありません。
本文作成・監修:ぜんそくと肺のクリニック 院長 井上 英樹 (日本呼吸器学会認定 呼吸器専門医・指導医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医)








