花粉症で咳が出るのはなぜ?― 外来でよくある相談を呼吸器内科医が解説 ―

花粉症の季節に咳が出ている様子のイメージ

花粉症の時期に「咳が止まらない」というご相談が増えます

花粉症の季節になると、鼻水や鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみなどの症状でつらい思いをされる方が多くなります。外来ではそれに加えて、**「花粉症の時期になると咳が出る」**というご相談もよくあります。

日中は鼻症状が中心でも、夜になると咳が増えたり、花粉症の時期に喘息が悪化したりすることもあります。

「風邪ではないのに咳が続くのはなぜだろう」と不安に感じる方も少なくありません。

よくある質問

花粉症なのに、どうして咳が出るのですか?

患者さんからよく聞かれるのは、
「花粉症は鼻の病気ではないのですか?」
「なぜ咳まで出るのでしょうか?」
という疑問です。

花粉症は主に鼻や目のアレルギー症状を引き起こしますが、実は咳が出やすい状態をつくる仕組みもいくつかあります。

花粉症で咳が出る主な原因

1.後鼻漏(こうびろう)による刺激

花粉が体内に入ると、アレルギー反応によってヒスタミンなどの物質が放出されます。これにより鼻粘膜が腫れ、鼻水が多く分泌されます。

鼻水は前に流れるだけでなく、喉の奥にも流れ込んでいます。これを後鼻漏といいます。後鼻漏があると、喉や喉頭を刺激し、その刺激が咳反射を引き起こします。

花粉症の時期に「喉がイガイガする」「痰が絡む感じがする」という方は、この後鼻漏が関係していることがあります。

2.花粉そのものの刺激

花粉は鼻だけでなく、口からも吸い込まれて気管・気管支に届くこともあります。気道の粘膜が敏感になっていると、花粉という異物に反応して咳が誘発されます。

特に、もともと咳喘息や喘息の傾向がある方では、花粉が刺激となって咳が強く出ることがあります。

3.自律神経の影響

花粉症では、自律神経のうち副交感神経が優位になりやすいことが知られています。副交感神経が優位になると、鼻粘膜の血管が拡張し、鼻水が出やすくなります。

実は副交感神経は気管支にも分布しており、優位になると気管支が収縮しやすくなる傾向があります。その結果、咳が出やすい状態になります。

このように、花粉症は鼻だけの問題ではなく、気道全体に影響を与えることがあるのです。

放置した場合の注意点

花粉症に伴う咳の多くは、花粉の飛散時期が終わると軽快します。しかし、

  • 咳が長引いている
  • 花粉の時期以外にも咳が続く
  • 息苦しさやゼーゼー感がある

といった場合は、咳喘息や喘息が背景にある可能性も考えられます。

花粉症の時期に咳が長引く場合、咳喘息が関係していることもあります。
👉 咳喘息とは何か?症状や治療、よくある疑問のまとめはこちら もあわせてご参照ください。

すべてが重い病気につながるわけではありませんが、咳が続く場合は原因を整理することが大切です。

受診の目安(重要)

次のような場合には、医療機関での相談をおすすめします。

  • 花粉症の時期に咳が2〜3週間以上続いている
  • 夜間や早朝に咳が悪化する
  • 息苦しさや胸の違和感がある
  • 市販の咳止めで改善しない

一方で、鼻症状とともに軽い咳が短期間出ているだけで、日常生活に支障がない場合は、まず花粉症の治療を行い経過を見ることもあります。

日暮里・荒川区周辺でも、花粉症の季節に「鼻だけでなく咳も出る」という相談は少なくありません。

検査・治療について

医療機関では、問診や診察に加え、必要に応じて呼吸機能検査などを行い、咳喘息や喘息の有無を確認します。

治療としては、

  • 抗ヒスタミン薬や点鼻薬などの花粉症治療
  • 気道の炎症や収縮を抑える吸入薬

などを症状に応じて組み合わせます。花粉症をしっかりコントロールすることで、咳が軽減することもあります。

治療は症状や体質により異なるため、医師と相談しながら調整していきます。

外来でよくある補足

「花粉症だから鼻の薬だけで十分」と思われがちですが、実際には咳が主体となって受診され、検査で咳喘息と診断される方もいます。

逆に、花粉症の治療を始めたことで咳が落ち着くケースもあります。鼻と気道はつながっているため、両方を総合的に評価することが大切です。

花粉症の咳が長引いている場合は、咳喘息の可能性も含めて考えることが大切です。
👉 咳喘息の症状・治療・受診の目安をまとめたページ もぜひ参考になさってください。

まとめ:花粉症の咳も我慢せず相談を

花粉症で咳が出る背景には、後鼻漏、花粉の刺激、自律神経の影響など、いくつかの要因があります。鼻の症状だけでなく、咳が続く場合は気道の状態も確認することが安心につながります。

花粉症の季節に咳が気になる方は、一人で悩まず医療機関でご相談ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断や治療を行うものではありません。

本文監修:ぜんそくと肺のクリニック 院長 井上 英樹 (日本呼吸器学会認定 呼吸器専門医・指導医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医)

関連記事

  1. 長引くせき|病院受診の目安|呼吸器内科|ぜんそくと肺のクリニック

    「咳が続くのですが病院を受診した方がよいでしょうか?」

  2. せきにも漢方薬は効果あります|漢方の選び方|東京|荒川区日暮里|呼吸器内科|ぜんそくと肺のクリニック

    咳に漢方は有効か?咳に対する漢方治療について

  3. 帯状疱疹を発症すると皮疹と痛みが出現します|帯状疱疹ワクチン|荒川区助成|ぜんそくと肺のクリニック

    喘息やCOPDがあると帯状疱疹になりやすい|帯状疱疹ワクチン…

  4. 吸入デバイスブリーズヘラーの特徴と使い方|気管支喘息|せき|ぜんそくと肺のクリニック

    ぜんそく吸入デバイス紹介【ブリーズヘラー】

  5. 喘息のバイオ製剤について|新しい抗体療法の紹介|ぜんそくと肺のクリニック

    喘息のバイオ製剤について:新しい抗体療法

  6. 喘息患者さんにおすすめの食べ物とは?食事が重要な2つの理由と…