外来でよく相談される「この咳、うつしませんか?」
外来診療をしていると、咳喘息と診断された患者さんから
「この咳は、人にうつるのでしょうか?」
という質問をよく受けます。
咳という症状は、どうしても感染症を連想しやすく、
特に新型コロナウイルス感染症が流行していた時期の記憶から、
「家族にうつしてしまわないか」「周囲の人に迷惑をかけていないか」
と心配される方は少なくありません。
咳喘息の咳は人にうつるのでしょうか?
結論からお伝えすると、
咳喘息そのものの咳は、人にうつることはありません。
咳喘息は感染症ではなく、
気管支が収縮したり、刺激に対して敏感になったりすることで起こる咳です。
アレルギー反応が関係しているケースも多く、
ウイルスや細菌が原因ではありません。
そのため、すでに咳喘息と診断されている方の咳については、
周囲の人に感染させる心配はないと考えていただいて大丈夫です。
なぜ「うつるのでは」と感じてしまうのか
多くの方が不安になる理由の一つは、
「咳=感染症」というイメージが強いためです。
実際、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症など、
感染症でも咳はよく見られる症状です。
そのため、咳が続いていると「もしかして感染症なのでは」と心配になるのは自然なことです。
注意が必要なのは咳が出始めて間もない時期
注意が必要なのは、咳が出始めて1〜2週間程度の時期です。
この時期は、
- 風邪
- インフルエンザ
- 新型コロナウイルス感染症
などの感染症が原因となっている可能性も否定できません。
感染症による咳の場合は、
他の人にうつしてしまう可能性があります。
感染症が疑われる場合の対処
感染症が疑われる場合には、
- マスクを着用する
- 家族と居住スペースを分ける
- 人混みを避ける
といった対策が大切です。
感染症かどうかの判断は、
医療機関での診察に加え、必要に応じて
- 胸部レントゲン
- 血液検査
などを行って総合的に判断します。
咳が3週間以上続いている場合は?
咳が出始めてから3週間以上経過し、咳だけが長引いている場合には、
感染症の可能性は低くなります。
このようなケースで、咳喘息と診断された場合は、
周囲の人にうつす心配はほとんどないと考えてよいでしょう。
それでも周囲が気になる場合は
たとえうつる心配がなくても、
咳が続いていると、周囲の方が不安に感じることはあります。
そのため、
- 公共の場ではマスクを着用する
- 咳エチケットを心がける
といった最低限の配慮をすることで、
ご本人も周囲も安心して過ごしやすくなります。
外来でよくある誤解
外来でよくある誤解の一つが、
「咳が長く続いている=ずっと感染力がある」
という考えです。
実際には、感染症による咳は一定期間を過ぎると感染力が低下します。
咳喘息のように、感染とは無関係な咳が長引く病気もあります。
自分で判断が難しいときは受診を
咳が咳喘息によるものか、感染症によるものかは、
ご自身で判断するのは難しいことが多いです。
特に、
- 咳が長引いている
- 原因がはっきりしない
- 周囲への影響が心配
といった場合には、医療機関を受診することをおすすめします。
日暮里・荒川区周辺でも、
「この咳はうつるのか」という不安から受診される方は多くいらっしゃいます。
まとめ:不安な咳は一人で悩まず相談を
咳喘息の咳そのものは、人にうつることはありません。
ただし、咳が出始めの時期には感染症が隠れている可能性もあります。
不安な症状が続く場合は、
一人で悩まず、医療機関で相談することが安心につながります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断や治療を行うものではありません。
本文監修:ぜんそくと肺のクリニック 院長 井上 英樹 (呼吸器専門医・指導医、アレルギー専門医)








