花粉症(アレルギー性鼻炎)と喘息は関係する?

スギ花粉は花粉症であるアレルギー性鼻炎の原因です|東京都荒川区の呼吸器アレルギー内科|ぜんそくと肺のクリニック

今年も花粉症の季節となりました。毎年この時期になると鼻水や鼻づまり、目のかゆみでお悩みの方も多いと思います。この記事を書いている2023年の関東地方は例年よりも花粉の飛散量が多いと報道されており、普段以上に花粉対策を心がける必要があります。

花粉症はスギ花粉に対するアレルギー反応

花粉症は正確には「季節性アレルギー性鼻炎」といいます。
鼻水、鼻詰まりが主な症状です。目のかゆみがある方は「アレルギー性結膜炎」と診断します。
蕁麻疹が出たりする場合もあります。

スギ花粉などのアレルギー物質(抗原)が体内(鼻腔内)に侵入すると、この抗原に結合する性質を持つ抗体(IgE)が作られます。この抗原と抗体がくっついたものが炎症細胞であるマスト細胞に結合します。すると、マスト細胞が刺激されて、このマスト細胞から炎症を引き起こす物質であるヒスタミンやロイコトリエン、サイトカインが産生・放出されます。これらの放出された物質がアレルギーの原因となり、鼻や眼に花粉症の症状がおこります。

抗ヒスタミン薬、点鼻ステロイド薬を使って治療します

花粉症の治療の第1選択は抗ヒスタミン薬の内服となります。フェキソフェナジン(アレグラ)やビラスチン(ビラノア)などが代表的な薬剤となります。鼻づまりや鼻水が強い場合は、点鼻ステロイド薬も追加します。モンテルカスト錠やプソフェキ配合錠の投薬を追加をすることもあります。

目のかゆみがある場合は、抗ヒスタミン薬の点眼薬も併用します。

症状が強い場合は、セレスタミン配合錠の投与も検討されますが副腎皮質ホルモンであるベタメタゾン(いわゆるステロイド)が含まれているので、投与は短期間にとどめておくべきと考えます。

重症の花粉症の方にはバイオ製剤も

上記の通常の投薬では改善しない重症のアレルギー性鼻炎の方については、バイオ製剤であるオマリズマブ(ゾレア)の投与を検討します。投与量は、体重と血液中の総IgE値から計算します。基本は4週間間隔の皮下注射ですが、総IgE値が高い方については2週間間隔の投与となる場合もあります。

投与にあたっては施設要件があるので、投与を希望される方は、ゾレアの治療実績のあるアレルギー専門医を受診するようにしましょう。

鼻水がひどい人は、点鼻ボトックスという選択肢も

保険適応外の自費診療となりますが、鼻水などの鼻症状が強い方に関しては、ボツリヌス毒素の点鼻投与という選択肢もあります。ボツリヌス毒素を点鼻投与することで、鼻粘膜の副交感神経からのアセチルコリンの放出をブロックし、鼻水の分泌をおさえ、鼻づまりを軽減します。効果は、2~3週間持続します。当院でも行っておりますので、ご相談ください(リンク:診療について)。

花粉症の季節は喘息も悪化しやすい:”one airway, one disease”

喘息患者さんの70%はアレルギー性鼻炎を持っていると言われています。鼻から気管支まで、気道は一つの臓器とみなす考え方があり、これを”one airway, one disease”といいます。一般的に花粉症の季節は喘息のコントロールも悪化する傾向にあります。

普段の喘息治療をしっかり継続するとともに、花粉症の治療も並行して行うことをおすすめします。

花粉症があると喘息になりやすい?

花粉症があると喘息が悪化する原因としては以下のものが考えられています。

  • 好酸球性炎症などの気道炎症が鼻から気管支に広がる
  • 鼻閉症状による口呼吸で異物が気道に入りやすくなる
  • 鼻汁が咽頭に流れ込むことで咳が誘発され、気管支が刺激される
  • 鼻炎による神経刺激が気管支に広がる(Naso-pharyngeal bronchial reflexes)

鼻の通りが悪くなると呼吸もしづらくなります。気管支が通常のときよりも負担がかかりますので、喘息症状も悪化しやすいです。

一方、花粉症をお持ちの方でいままで喘息とは診断されたことがないけれども、今後喘息を発症してしまうかどうか心配に感じておられる方もいらっしゃるかと思います。

現在のところ、花粉症が喘息発症のリスクである明確なデータはありません。

しかしながら、花粉症患者さんの30%が喘息を合併するというデータもあり、注意をして経過を見ていく必要はあると思います。花粉症をお持ちの方で、咳や息苦しさを感じている方は喘息を合併していることも考えられます。一度、呼吸器専門医が在籍する医療機関をかかられることをおすすめいたします。

花粉症症状でお困りの方は一度医療機関の受診を

花粉症はスギ花粉に対するアレルギー症状の一つです。「one airway, one disease」の考えにもとづいて、1つの同じ気道として捉えて総合的に治療を行う必要があります。

ぜんそくと肺のクリニックでは喘息だけではなくアレルギー性鼻炎の治療も行っております。アレルギー専門医の資格を有した院長が1つのアレルギー疾患として対応いたします。

JR山手線日暮里駅から徒歩3分の便利な位置にありますので通院も便利です。鼻水や鼻づまりなどの症状でお困りの方は一度お気軽に受診いただければと思います。

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