咳喘息を放っておくと喘息になる?― 外来でよくある疑問を呼吸器内科医が解説 ―

咳喘息を放置した場合の不安を感じている様子のイメージ

外来でよく相談される「咳喘息は放っておいて大丈夫?」

外来診療をしていると、
「咳喘息といわれましたが、治療せずに様子を見ても大丈夫でしょうか?」
「このまま喘息になってしまうことはありませんか?」
といった質問をよく受けます。

実際、咳喘息と診断されても、

  • 吸入薬で治療を続けている方
  • 症状が軽いため治療せず様子を見ている方

など、対応はさまざまです。
今回は、咳喘息を治療せずに放置した場合、喘息に移行する可能性があるのかについて解説します。


咳喘息は自然に治ることもあります

まず知っておいていただきたいのは、
すべての咳喘息が必ず喘息に進行するわけではないという点です。

たとえば、

  • 風邪の後に一時的に咳だけが残った場合
  • 咳の期間が比較的短く、自然に治まっていく場合

このようなケースでは、咳が落ち着くとそのまま改善してしまうことも少なくありません。


咳が長引く場合は注意が必要です

一方で、
咳が数か月にわたって長引いているにもかかわらず、治療を行っていない場合には注意が必要です。

咳喘息では、咳の背景に
気管支の収縮や、刺激に対する過敏な状態
が存在しています。

この状態を治療せずに放置していると、
気管支の収縮や炎症が持続し、喘息と同じような慢性的な気道炎症へと進行していく可能性があると考えられています。


咳喘息から喘息へ移行する可能性

医学的には、
咳喘息の一部が喘息に移行する可能性があることが知られています。

報告によって差はありますが、
適切な治療を行わなかった場合、成人の咳喘息の約30〜40%が喘息に進行し得る
とする報告もあります。

一方で、吸入ステロイドなどによる治療を行うことで、
喘息への進行リスクを下げられる可能性があるとも考えられています。


なぜ咳喘息が喘息に進行するのか

咳喘息でも、喘息と同様に
空気の通り道である気管支に炎症や収縮が起きている
と考えられています。

この炎症が十分に抑えられない状態が続くと、

  • 気道の過敏性がさらに強くなる
  • 気管支が慢性的に狭くなる

といった変化が起こり、結果として喘息の病態に近づいていく可能性があります。


咳喘息も「喘息の一部」と考えられることがあります

近年では、医学的に
咳喘息も喘息と同じ病態の一つとして捉える
という考え方もあります。

これは、
「症状が咳だけか、息苦しさやゼーゼーを伴うかの違いであり、
気道の炎症という本質は共通している」
という考えに基づいています。

そのため、咳喘息であっても、
必要に応じてしっかりと治療を行うことが重要とされています。


放置せずに受診してほしいタイミング

次のような場合には、
自己判断で様子を見るのではなく、医療機関への受診をおすすめします。

  • 咳が3週間以上続いている
  • 夜間や早朝に咳が出やすい
  • 風邪が治ったあとも咳だけが残っている
  • 咳を繰り返す時期が毎年決まっている

日暮里・荒川区周辺でも、
「最初は軽い咳だったが、長引いて心配になった」という理由で受診される方は多くいらっしゃいます。


検査や治療の考え方

医療機関では、

  • 問診による症状の確認
  • 呼吸機能検査
  • 必要に応じた画像検査

などを行い、気道の状態を評価します。

治療としては、
気道の炎症や過敏性を抑える吸入薬を中心に、症状や経過に応じて調整します。
効果や治療期間には個人差があるため、医師と相談しながら進めていくことが大切です。


外来でよくある誤解

外来でよくある誤解の一つが、
「咳だけだから大したことはない」
という考えです。

咳だけが続く場合でも、その背景に気道の炎症が隠れていることがあります。
軽く考えすぎず、長引く咳は一度評価を受けることが安心につながります。


まとめ:長引く咳は放置せず相談を

咳喘息は、自然に良くなることもありますが、
治療せずに放置した場合、喘息に進行する可能性があることも知られています。

すべての方が喘息になるわけではありませんが、
長引く咳がある場合は、一人で判断せず医療機関で相談することが大切です。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断や治療を行うものではありません。

本文監修:ぜんそくと肺のクリニック 院長 井上 英樹 (呼吸器専門医・指導医、アレルギー専門医)

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