長引く咳とのど飴について:外来でよく相談されます
呼吸器内科の外来では、「咳が長引くので、のど飴をなめてもよいですか?」、「どんな種類ののど飴を選べばよいですか?」というご相談をよく受けます。
日暮里・荒川区周辺でも、風邪のあとに咳だけが残る方、喘息や咳喘息が心配で受診される方、会話中や夜間に咳が出て困っている方は少なくありません。咳が続くと、「このまま治らないのでは?」、「肺に悪い病気があるのでは?」と不安になることもあると思います。
今回は、長引く咳における「のど飴」の位置づけと、選び方のポイントについて、呼吸器内科医の立場から整理します。
よくある質問:のど飴で長引く咳は治りますか?
結論からいうと、のど飴は咳そのものを治す薬ではありません。
長引く咳である慢性咳嗽では、咳喘息、喘息、鼻炎、副鼻腔炎、胃食道逆流症、感染後咳嗽、喉頭過敏症など、さまざまな原因が関係します。これらに対しては、原因に応じた診断と治療が必要です。
一方で、のど飴には「口の中でゆっくり溶けることで唾液が出やすくなり、咽喉頭を潤す」という役割があります。喉の乾燥やイガイガ感が咳払いや咳反射のきっかけになっている方では、のど飴が補助的に役立つことがあります。
つまり、のど飴は「咳を治す薬」ではなく、咽喉頭を潤し、咳払い・咳反射のきっかけを減らす補助療法として考えるのがよいでしょう。
推奨しやすいのど飴の選び方
第一選択は「ノンシュガー・低刺激・酸味控えめ」
長引く咳の方におすすめしやすいのは、次のようなタイプです。
まず、ノンシュガーまたは低糖タイプです。咳が長引くと、1日に何度ものど飴をなめることがあります。砂糖入りの飴を頻回に使うと、虫歯や血糖への影響が気になるため、できればノンシュガータイプを選ぶとよいでしょう。
ただし、「ノンシュガー」は糖質やカロリーがゼロという意味ではありません。砂糖などの「糖類」が少ないという意味で、糖アルコールなどの糖質を含むことがあります。食べすぎるとお腹がゆるくなることもあるため、量には注意が必要です。
次に、刺激の少ない、なめらかなタイプがおすすめです。強いメントールやミント、強い酸味、辛味のあるものは、すっきり感がある一方で、人によっては喉の刺激となり、かえって咳が出やすくなることがあります。
特に咳過敏が強い方では、非メントールまたは弱メントール、酸味控えめ、味や香りが強すぎないものを選ぶとよいでしょう。
注意が必要な方
のど飴は身近なものですが、誰にでも同じように勧められるわけではありません。
糖尿病の方、血糖管理中の方、虫歯が多い方は、砂糖入りの飴を頻回に使わないよう注意が必要です。ノンシュガータイプでも食べすぎは避けましょう。
また、嚥下機能が低下している高齢者、小さなお子さんでは、のど飴による誤嚥や窒息のリスクがあります。就寝中に口に入れたままにすることも危険です。夜間の咳対策として飴を口に入れたまま寝ることは避けてください。
SPトローチは長引く咳に効きますか?
外来では、医療用医薬品であるSPトローチについても質問されることがあります。
SPトローチは、主に咽頭炎、扁桃炎、口内炎など、口腔・咽頭領域の炎症や感染予防を目的に使われる薬です。喉の痛み、赤み、口内炎などがある場合には、補助的に役立つことがあります。
一方で、咳喘息、喘息、後鼻漏、胃食道逆流症、喉頭過敏症などによる慢性咳嗽そのものを治す薬ではありません。
「喉の炎症や痛みがあり、それが咳のきっかけになっている場合に短期間使う補助薬」と考えるのが適切です。長引く咳がある場合には、SPトローチだけで様子を見るのではなく、咳の原因を確認することが大切です。
おすすめしやすい市販のど飴・キャンディ4選
以下は、長引く咳の方に比較的勧めやすい市販品の例です。いずれも合う・合わないがありますので、様子を見ながら、咳が増える場合などは摂取を中止してください。
| 商品名 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| カンロ ノンシュガー味のしない?のど飴 | ノンシュガーで、甘さ・香り・清涼感がほとんどない。喉を潤す目的に近い。仕事中など味や香りが気になる方におすすめ。 | 店舗によっては取り扱いが少ない場合があります |
| カンロ ノンシュガーミルクのど飴 | なめらかなミルク系で、ノンシュガータイプ | ほのかなミント感が刺激になる方は注意 |
| カンロ ノンシュガー果実のど飴 | ノンシュガーで、果実味があるタイプ | 果実味や酸味が咳の刺激になる方は注意 |
| 春日井製菓 ノンシュガーソイミルクの国 | のど飴ではありませんが、ノンシュガーのミルク系キャンディとして使いやすい | 大豆成分が含まれるため、アレルギーのある方は避けてください |
慢性咳嗽の保湿目的では、「スースー感が強いもの」「酸っぱいもの」「砂糖入りを何粒もなめ続けること」は、できれば控えめにするのがよいでしょう。
のど飴だけでなく、咳抑制行動も大切です
長引く咳では、のど飴だけに頼るのではなく、咳が出そうな時の行動を工夫することも役立ちます。
たとえば、咳が出そうになったら、まず少量の水を飲み込む、唾液を飲み込む、鼻からゆっくり息を吸って口をすぼめて吐く、強い咳払いを避ける、といった方法があります。
「咳を我慢する」というより、咳の前に喉を潤し、咳払い以外の動作に置き換えるイメージです。特に、会話中や乾燥した場所で咳が出やすい方には、少量ずつ水分をとる習慣もおすすめです。
まとめ:のど飴は補助療法。咳が続くときは原因の確認を
のど飴は、長引く咳を直接治す薬ではありません。しかし、咽喉頭を潤し、喉のイガイガ感や咳払いのきっかけを減らす補助療法として役立つことがあります。
選ぶ際は、ノンシュガー、低刺激、非メントールまたは弱メントール、酸味控えめのものを基本にするとよいでしょう。一方で、糖尿病、虫歯、嚥下機能の低下、小児、就寝中の使用には注意が必要です。
咳が3週間以上続く、夜間や明け方に悪化する、息苦しさや喘鳴がある、痰や発熱が続く、日常生活に支障がある場合には、咳喘息や喘息などが隠れていることもあります。
日暮里・荒川区周辺で長引く咳にお困りの方も、必要に応じて呼吸器内科にご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断や治療を行うものではありません。本記事で紹介した商品は効果を保証するものではありません。
※本文監修:ぜんそくと肺のクリニック 院長 井上 英樹 (日本呼吸器学会認定 呼吸器専門医・指導医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医)








