喘息患者におすすめの食べ物とは?食事が重要な2つの理由と避けるべき食べ物も紹介

「最近、咳や息苦しさがなかなか治らない」そんな喘息の症状に悩んでいませんか?
実は、日々の食事が喘息の症状に影響していることをご存じでしょうか。呼吸器の疾患である喘息は、薬による治療だけでなく食生活も重要です。

この記事では、喘息患者さんにおすすめの食事と避けるべき食品をわかりやすく解説します。「どんな栄養素が効果的?」「何を食べない方がいいの?」といった疑問にお答えします。

喘息で食事内容が重要な2つの理由

喘息で食事内容が重要と言われる理由は2つあります。

  • 腸内環境の正常化が免疫正常化につながるため
  • 食事が原因で喘息発作を誘発する可能性があるため

詳しく解説します。

腸内環境の正常化が免疫正常化につながるため

喘息において食事内容が重要とされる理由は、腸内環境が免疫機能に深く関わっているためです。腸は全身の免疫細胞の多くが集まり、細菌やウイルスから身体を守る重要な免疫組織です(1)。腸に侵入した病原体はパイエル板の免疫細胞が感知し、排除します。

また、腸に存在する腸内細菌も免疫を支える微生物です。腸内細菌は、免疫を調節する作用がある短鎖脂肪酸を産生し、免疫機能をサポートします。腸壁もまた、外部の細菌が侵入しにくいように物理的なバリアとして貢献しています。

上記のことから、腸内環境が乱れると免疫バランスも崩れ、炎症が起こりやすいです。

食事が原因で喘息発作を誘発する可能性があるため

食事は喘息を誘発する直接的な原因になる可能性があります。特に辛い物や炭酸飲料は注意が必要です。これらは喉の粘膜を刺激し、気道の炎症を悪化させることがあります。刺激を受けた喉は咳を引き起こし、喘息発作を誘発するリスクが高まります。喘息がある人は、香辛料や酸味の強い食品、冷たい飲み物などを避けたほうが安心です。

喘息患者におすすめの食べ物

喘息患者には以下の成分が含まれる食べ物がおすすめです。

  • 乳酸菌が含まれる食べ物
  • 野菜や果物などの抗酸化物質が含まれる食べ物
  • 魚などのn-3多価不飽和脂肪酸が多く含まれる食べ物
  • ビタミンDが含まれる食べ物

それぞれ解説します。

乳酸菌が含まれる食べ物

乳酸菌は腸内の善玉菌を増やし、免疫機能のバランスを整える働きがあります。具体的には、腸内の悪玉菌の増殖を抑えることで善玉菌の割合を高め、さらに抗体の産生を促すことで、身体の免疫力をサポートする仕組みです。

乳酸菌は、ヨーグルトや納豆、キムチ、みそなどの発酵食品に多く含まれています。これらの食品を日常的に取り入れることで、腸の働きが活発になり、炎症の抑制にもつながるでしょう。

野菜や果物などの抗酸化物質が含まれる食べ物

野菜や果物に多く含まれるビタミンCやビタミンEなどの抗酸化物質は、体内の細胞を酸化ストレスから保護する働きがあります。酸化ストレスとは、体内で過剰に発生した活性酸素によって細胞がダメージを受ける状態のことで、これを防ぐことが免疫力の維持や炎症の抑制につながります。

色の濃い緑黄色野菜や柑橘類、ベリー類には多くの抗酸化成分が含まれていておすすめです。毎日の食事にこれらの食材を取り入れることで、身体の炎症反応を抑える効果も期待できます。

魚などのn-3多価不飽和脂肪酸が多く含まれる食べ物

喘息患者には、魚に含まれるn-3多価不飽和脂肪酸を多く摂取する食事がおすすめです。n-3多価不飽和脂肪酸に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は、体内で炎症を抑制する物質に変換され、気道の炎症を抑制する働きがあります。

これにより、気管支の過敏な反応が緩和され、喘息発作の頻度や重症度が軽減する可能性があります。また、これらの脂肪酸は炎症を促すサイトカインの生成を抑える作用もあるため、免疫系のバランスを整えるうえでも有効です。

n-3多価不飽和脂肪酸は、サバやイワシ、サンマなどの青魚に豊富に含まれていますが、魚が苦手な方でも、えごま油、アマニ油、くるみなどの植物性食品からも摂取できます。

ビタミンDが含まれる食べ物

ビタミンDは免疫細胞に存在するビタミンD受容体に結合し、免疫機能を調節します。研究によると、小児喘息では、血中のビタミンD濃度が低いと症状が悪化しやすい傾向です(2)。そのため、ビタミンDを意識的に取り入れることで、喘息の症状緩和につながる可能性があります。

ビタミンDを多く含む食品には、鮭やサバなどの青魚、きのこ類、卵黄などがあります。食事からの摂取が難しい場合は、日光浴やサプリメントの活用も検討すると良いです。

喘息患者で避けた方が良い食べ物

喘息患者で避けたい食べ物は以下の3種類です。

  • 食品添加物が多く含まれる食べ物
  • n-6多価不飽和脂肪酸が多い食べ物
  • アルコール類

詳しく解説します。

食品添加物が多く含まれる食べ物

喘息患者は、食品添加物が多く含まれる食べ物を避けることが望ましいです。保存料や着色料は喘息の発作や症状を悪化させる誘因になる可能性があります(3)。こうした添加物は、加工食品、スナック菓子、インスタント食品、清涼飲料水などに多く含まれており、日常的に口にしやすい食品に含まれている点に注意が必要です。成分表示を確認しながら食品を選ぶ習慣をつけて、できるだけ添加物の少ない食品を選ぶことが重要です。

n-6多価不飽和脂肪酸が多い食事

n-6多価不飽和脂肪酸が多い食事は、喘息患者にとって注意が必要です。n-6系脂肪酸は体内でアラキドン酸に変換され、そこからプロスタグランジンやロイコトリエンなどの炎症を引き起こす物質が生成されます。これらの物質は気道の炎症や過敏性を高め、喘息の症状を悪化させる可能性があります。具体的には、植物油(コーン油、大豆油、サンフラワー油)や、それらを多く含む加工食品や揚げ物などが該当します。

現代の食生活では、n-6系脂肪酸の摂取量が過剰になりがちであり、n-3系脂肪酸(青魚や亜麻仁油に含まれる)とのバランスを取ることが重要です。

アルコール類

アルコール類は喘息の症状を悪化させる可能性があるため、注意が必要です。アルコールの代謝過程ではアセトアルデヒドが生成されます。このアルデヒド濃度の上昇が気道の炎症や過敏反応を引き起こし、喘息の発作を誘発することがあります(3)。

また、アルコールに含まれる添加物も影響を与える要因です。特に赤ワインやビールにはヒスタミンや亜硫酸塩などの物質が多く含まれており、これらが気道を刺激することで咳や息苦しさが生じることがあります。

体質により反応には個人差がありますが、喘息持ちの人はアルコールの摂取量を減らすか、症状が重い場合は完全に控えることが勧められます。

食事の内容に注意して喘息症状を抑えましょう

喘息は、薬だけでなく食事による対策も重要です。特に腸内環境の改善が免疫機能を整え、炎症を抑えることにつながるため、乳酸菌や抗酸化物質を多く含む食べ物(ヨーグルト、野菜、果物など)を積極的に取り入れることが重要です。また、青魚に含まれるEPA・DHAやビタミンDも気道の炎症を抑える効果が期待できます。

一方で、辛い物や炭酸飲料、添加物の多い加工食品、n-6系脂肪酸を多く含む揚げ物、アルコールなどは喘息を悪化させる可能性があるため注意が必要です。体調を見ながら、炎症を抑える食品を意識的に取り入れ、刺激物は避ける食生活を心がけましょう。

参考文献

  1. 腸管免疫と腸内細菌の密接な関わり合い (日内会誌104:81-85, 2015)
  2. ビタミンDと小児喘息 (ビタミン, 86:322-329, 2012).
  3. 気管支喘息:診断と治療の進歩 生活指導・患者教育(日内会誌98:3041-3051, 2009).

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