RSウイルスワクチンの接種ができるようになりました

アレックスビー筋注用

2024年1月15日にRSウイルスワクチンである、アレックスビー筋注用が発売されました。60歳以上の方のRSウイルス感染を予防するワクチンです。この記事では、RSウイルス感染症について、また、アレックスビーの有効性などについてご紹介します。

RSウイルスとは?

RSウイルスは、いわゆる「風邪」の原因となる代表的なウイルスの1つです。

RSウイルスは、ニューモウイルス科のオルソニューモウイルス属に属するRNAウイルスです。直径は80~350nmで、球形やひも状の形をとります。ヒト、チンパンジー、ウシなどが感受性を示し、呼吸器感染症を引き起こします。

RSウイルスは、若い方で免疫が十分にあるような方は自然に治ってしまうものです。一方で、高齢者や喘息やCOPD、心疾患などの慢性的な基礎疾患があるような方、免疫機能が低下している方の場合は、RSウイルス感染が重症化する可能性があります。

また、RSウイルスは、乳幼児の細気管支炎や肺炎の主な原因であり、特に生後6ヵ月齢未満で感染すると重症化するといわれています。

以上のことから、乳幼児や高齢者の方は、RSウイルス感染に十分注意する必要があります。

基礎疾患があるとRSウイルスによる入院を起こしやすい

海外のデータでは、基礎疾患がある方では、基礎疾患が無い方と比較して、RSウイルス感染による入院率が高まることが報告されています。
喘息では、RSウイルス感染による入院率が2-3.6倍になるとの報告がされています。(Branche et al. Clinical Infectious Diseases, Volume 74, Issue 6, 15 March 2022, Pages 1004–1011)

アレックスビー筋注の投与により、RSウイルス感染が減少

60歳以上の方を対象にした臨床研究において、アレックスビーを投与することで、RSウイルス感染を優位に減少させたとの報告がなされました。
臨床試験の結果では、日本人を含む海外データにおいて、RSウイルスに対するアレックスビーの効果は、60歳以上で82.6%、基礎疾患がある60歳以上で94.6%でした(RSV OA=ADJ-006試験)。

ぜんそくと肺のクリニックでアレックスビーの接種ができます

アレックスビーの効能・効果は、「RSウイルスによる感染症の予防」となっています。
投与対象となる方は、60歳以上の方です。
1回0.5mLを上腕などに筋肉注射で投与します。1回接種で終了です。
ワクチン予防接種ですので、自費診療となります。
ぜんそくと肺のクリニックでは、1回26000円(税込)で提供させていただいております。
予約制となりますので、予めご連絡をお願い致します。

風邪をしっかり予防することが健康への第一歩

よく昔から言われることとして、「風邪は万病のもと」という言葉があります。風邪をきっかけとして、全身の状態が悪くなってしまうことを指します。高齢者の方や基礎疾患がある方は、健康な方よりも体の予備力が少ない状態ですから、きっかけは軽い風邪であったとしてもこじらせてしまう可能性があります。

RSウイルス感染は、高齢者だけではなく、乳幼児にも重症化のリスクがあります。お孫さんに会いに行かれるような方は、事前にRSウイルスワクチンを接種しておけば、お孫さんへのRSウイルス感染を予防するだけでなく、自分への感染を予防することもでき、ご家族全体の健康に役立つのではないかと考えられます。

今回発売された、RSウイルスワクチン・アレックスビーを始めとしたワクチンを有効に活用することで、皆様の健康管理に役立てていただければと思います。

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