「最近、咳が出て気になるのだけど病院を行ったほうがいいかな?」
咳は、医療機関を受診する症状として多いものですが、すぐに命にかかわる症状でもないので、つい受診を先延ばしにしてしまいがちです。一方で、肺癌や肺炎が心配だからすぐに受診したいという方もいらっしゃるでしょう。
どういった状況なら受診せずに様子を見ていいのか、またどういう時に受診すべきなのか、その判断材料となるようにまとめてみました。
受診しなくても良い咳:風邪を引いた後の咳
咳が出始めて3週間以内である急性咳嗽の内、大部分の咳は感染後咳嗽といって、自然に治る咳です。
発熱や倦怠感、鼻水などの感冒症状があって、その後に咳が続く場合、感染後咳嗽の可能性が高いです。普段、咳はでないけど、風邪を引いた後に咳が出てきた場合で、これまでぜんそくなどの呼吸器疾患のない方は感染後咳嗽の可能性が高いです。胸の痛みや、茶色や黄色などの色のついた痰など、咳以外の症状がなく、咳だけであればそのまま様子をみても大丈夫でしょう。
薬局で咳止めを購入したり、クリニックを受診して咳止めを処方してもらったりすると、咳が少し和らぐこともあります。
最近はやりのコロナウイルス感染症。これでも感染後咳嗽が長引くケースがあります。やはりこの場合も、2-3週間で治まることが多い印象です。
受診した方が良い咳:息苦しい、濃い痰や血痰がでる
咳のほかに、息苦しさを感じたり、茶色や黄色の濃い痰が出たりする場合はすぐに医療機関を受診した方が良いでしょう。「どうせ風邪の後の咳だから様子をみよう」などと、家で様子を見ていると病気が悪化する可能性があります。
息苦しさや痰を伴う咳は、肺炎を合併している可能性が高いです。息苦しいという症状は客観的で正確に評価しづらいのですが、パルスオキシメーターを使って血中の酸素飽和度を測定することも可能です。最近は、コロナウイルス感染症の流行に伴って自宅でパルスオキシメーターを持っていらっしゃる方も増えました。酸素飽和度が92%以下だと低酸素血症になっている可能性が高いです。すぐに医療機関を受診しましょう。
血痰が出た場合は、肺結核や肺がんの可能性があります。これもすぐに医療機関を受診して、胸部のレントゲン検査などを受けた方が良いでしょう。
受診した方が良い咳:8週間(2か月)以上続いている咳
軽い咳で日常生活にそれほど影響しない咳だけれども、8週間以上の長期間続いている咳も一度医療機関を受診することをおすすめします。
咳喘息や、逆流性食道炎、副鼻腔気管支症候群などの病気が隠れている可能性があります。咳は、すぐに命に関わる症状ではないので、つい放置してしまいがちです。でも咳によって日常生活の質が低下してしまうのも事実ですし、治療によって咳を減らすことで、普段の仕事や生活のパフォーマンスを上げることができます。医療機関を受診する手間がありますが、最近はオンライン診療など便利な受診方法もあります。咳でお悩みの方は一度クリニックを受診されることをおすすめします。
慢性咳嗽としてこちらに記事としてまとめてありますので、合わせてごらんください。